第8回作文コンクール入賞作品

保護者の部 最優秀賞 宮嶋 文
         優秀賞  成岡 徹
          佳作   内田 和子
                後藤 ヒロ子
           ※保護者の部・佳作3作目は該当者無しと致します


『思いやり』 保護者の部 最優秀賞 宮嶋 文
その小説との出会いは、ウン十年前に遡る。確か、中学の国語の教科書に載せられていた。そのクライマックス部分の主人公の心の葛藤が、今でも鮮明に、私の中に残っている。
その小説の名は、「塩狩峠」(三浦綾子作)。実話を元に作られたその物語は、あまりにも有名で、私のように記憶に色濃く残っておられる方も、少なくないと思う。
鉄道会社に勤務する主人公は、その日、自身の結納を行うはずであったにもかかわらず、婚約者や家族のことを思いながら、連結が外れてしまった機関車の最後尾を止めようとして、乗客を守るため、レールの上に自らの身を投げ出し、機関車の下敷きとなり、命を落としてしまう。
今回のテーマ「思いやり」を見た時、真先に思い浮かんだのが、この主人公の心と行動だった。正に、究極の思いやりの姿を見た思いであった。思いやりとはすなわち、自己を犠牲にしても他者の為を思える心なのであろう。
他人のパソコンを乗っ取り、冤罪を仕組む。他人の家に入り込み一家離散に追い込んでまで、その家族の財を食いつぶす。自分の欲のために、育児を放棄する。自分たちの憂さ晴らしのために、同級生を攻撃し自殺にまで追い込む子供達…。
世の中では、この目を耳を覆いたくなるような、残酷でやりきれない事件が日々繰り返されている。もとは他者を思いやる心にかけた身勝手な心が、そんな事件のきっかけになっているのではないだろうか。
まずは、私達大人が、思いやりの心を持って、家族と言う小さな核を育て、その輪を広げて行くことが、明るく平和な未来を、世界を、子供たちに残して行くことの第一歩であると信じてやまない。


『思いやり』 保護者の部 優秀賞 成岡 徹
私は、四十一年間生きてやっぱり何をするのも、人間関係がすごく重要と思っています。学校やクラブ、習い事、友達、家族、人がともに等しく生きていくには必要です。人と過ごす中で最も大切な事は、人を思いやる事です。親切、気配り、気づきとは少し違う感じがします。すごく温もりあるさりげない優しさで、一番心に伝わり笑顔や涙に変る物と思います。そんな思いが私にもあり、笑いながら泣いた事…
私は当時二十七歳で一つの店を任せられ、毎日必死にがんばっていました。でも店は、なかなか忙しくならず色々考えて悩んでいました。ある日、父と母と父方の伯父、伯母が来てくれました。「徹君、元気か!」とみんなが優しい笑顔でそれはすごく嬉しかったです。伯父は片手に持っていた物を僕に渡して「しっかり頑張れよ。」と。それは、毎年行われる十日恵比寿、商売繁盛の神様の笹を持って来てくれました。私がどう思っているのかを考えて私の事を思って、ありがたく頂き、料理を作りながら笑い泣きをしていました。私の店と恵比寿の神社の場所は全く方向は逆です。遠い所に行って足を運んで買って来てくれました。
人は大人も子供も、嬉しい事、悲しい事、色々な気持ちになります。そんな時にもっとも大切な事は人を思いやる事、つまり相手の立場に立って物事を考える事、もし自分自身がその人の立場だとしたらどうだろうか?自分自身そうされたらどう思うだろうか?そう言われたらどう感じるだろうか?人の心の中までは知る事は出来ないから、もし自分がその人だったらと置き換えて考える事こそが、「思いやり」につながると思います。
小さな思いやりは、人生に大きな役目がある事を心を通して心に伝え、心に残して行きたいです。


『思いやり』 保護者の部 佳作 内田 和子
思いやり』とは、『思いを遣る』ことから「相手の気持ちになって思い、相手に自分の気持ちを届ける」こと。
ある日、近所を散歩していたら、買い物袋を引きずるようにして坂道を上る高齢の女性と出会いました。私は「重そうですね。持ちましょうか?」と声を掛けました。すると女性は「もう近いので大丈夫ですよ。ちょっと買うつもりがたくさんになってしまって。」笑顔で会話を交わしたあと、「私の家もこの坂を上ったところなのでご心配なく。」と荷物を持ち、玄関先まで送りました。「本当に助かりました。ありがとう。」お礼を言われて、とても温かく清々しい気持ちになりました。
そのことをきっかけに今も仲良くさせていただいています。
こう考えると思いやりとは「人と人とを温かい気持ちでつなぐとても大切なもの」ということになります。一方で、押し付けや自己満足にならないこと。これが肝要です。
息子が市川道場に入門してこの秋で丸三年になりました。空手を始めて一年もしないうちに、まわりの人たちに「最近とても成長したね。お兄ちゃんになった気がするね。」とよく言われるようになりました。小さいころはママにべったりで、祖母宅にも泊まったことのない息子でした。そんな息子が入門してほどなくして、冬の合宿に行くことになりました。ほんとうは心配で仕方なかったのです。しかし道場の様子を見ていて、たて社会でありながらも上のお兄ちゃんが達が小さい子の面倒をよく見てくれている、と普段から感じていましたので、「大丈夫」と私自身に言い聞かせ、送り出したのでした。結果は心配無用、泣くことはおろか「楽しかった。次の合宿も行きたい。」と言い、ひとまわり大きくなって帰ってきました。合宿後、家では「自分で出来る」「自分でやってみる」が増え、進んでお手伝いをしてくれるようになりました。
その時一年生だった息子は今もう四年生です。白帯から線入りの緑帯となりました。これまで指導員の先生方や先輩方にたくさんの思いやりをいただいたように、相手の身になって思い、相手に自分の気持ちを届け、たくさんの人と温かい気持ちで繋がっていってほしいと思います。


『思いやり』 保護者の部 佳作 後藤 ヒロ子
今から13年前に初めて私自身、母親になり、その時「やさしく、他人に思いやりのある子供であります様に」と願いました。その後、二人の子供が誕生しましたが同様に願い、今もその時の思いは変わることなく、そうあって欲しいですしそのままこれから大人になって欲しいです。
子供を道場に入れたのもこの思いがあったからです。
近頃はご近所付き合いや交流の場が私が子供のころに比べて減少してきてるように思います。
そういう場でしか学べない事が沢山あるのに。
空手でただただ帯の色が変わり「力」が強くなる事を望んでいるんじゃなく、異年齢集団の中で交流活動を通して「思いやりや、やさしさ」を学んでほしいと思っています。
道場では沢山の交流活動をして頂けているのでものすごく親として感謝しています。
合宿・清掃活動・フードプロジェクト…。
学校、又は家庭の中では学べない事を異年齢集団の中で学べる事。その中で思いやりが自然と出来、又、あこがれの心が育つと思います。
わが子が誰に対しても平等に素直な気持ちで思いやれる子であって欲しいと母として願っています。